北海道のとある内科クリニックの副院長です。当クリニックでは令和3年11月下旬より時間帯予約制を導入しました。
今までは来院順に診察していましたが、どうしても朝9時から10時に集中してしまい(みなさん朝が好きなんですよね)、駐車場に止めれない、待合室が混雑する、診察までの待ち時間が長いという状態になってご迷惑をかけていました。また、混んでいる日もあれば、空いている日もあると日によってもばらつきがありました。これから雪が降ると駐車場の利用可能台数も減ってしまうのでさらに混雑が予想されます。
この混雑状況を改善するため予約制を導入することとしました。
予約制とは?
予約システムを導入する場合、順番予約と時間帯予約があります。順番予約は予約順、来院順に番号を振り順番に診察していきます。現在何番を診察していて、自分の番まであと何人いるかや待ち時間はどれくらいということがわかります。新患の多い小児科や耳鼻科などでは良いシステムかもしれませんが、結局混雑の緩和にはなりませんし、日毎のばらつきの解消にはなりません。よって当クリニックでは時間帯予約制を導入することとしました。時間帯予約制は9時に何人、9時15分に何人と予約枠を決めて予約をする方法です。総合病院では当たり前の時間帯予約ですが、クリニックで受け入れられるのかという不安もありました。しかし、このままでは患者様の待ち時間の解消はできないので、思い切って導入することとしました。また、院内での予約の他に、インターネット予約や専用ダイヤルによる電話予約も可能になりました。
時間帯予約制の良い点
今回導入に踏み切った一番の目的は患者様の待ち時間の解消です。患者様が集中すると駐車場に入れないところから始まり、診察室が座れないほど混雑していたり、診察まで1時間以上待ったり、会計・薬局での処方までかなり時間がかかってしまうという様々な問題があります。コロナ禍の時代に院内が密になるのも大きな問題です。院内にいる患者数をコントロールし、患者さんの不便を解消したかったのです。院内の患者数が減ると、患者様の検査・診察の呼び込みもスムーズになり、無駄な時間も減ることが期待されます。また、患者様を待たせているという精神的な苦痛も減ることが期待されます。患者様にも、スタッフにもいいことがあればよいですね。
また、コロナウイルスワクチン、インフルエンザワクチンも予約システムを使って管理できるのが良い点です。5月からコロナウイルスワクチン接種をしていますが、表を作成し手書きで管理していたので、とても大変でした(事務さんが疲れ果てていました)。予約システムを導入し、少しでも解消できればよいなと思います。
ただし、良い点だけではありません。
時間帯予約制の悪い点
・患者様にとっては予約の作業が増えます。診察後にクリニックで予約を取る場合は良いですが、インターネットや電話で予約する場合は作業が増えてしまいます。
・来院日が限定されてしまいます。今までは薬がなくなったら来院したり、天気が良い日に行こうとか自分の都合で来ていましたが、それができなくなってしまいます。自分の都合で来たい場合はインターネットや電話で予約できますが、内科クリニックですので高齢者も多く、インターネット予約はほぼ無理で音声ダイヤルの電話もなかなか難しいというハードルがあります。その場合は結局来院してしまいますが、それはそれで良いと思っています。なにせクリニックですから気軽に来院できなくなってしまうのは困りますからね。
・時間帯予約制になっても結局時間通りにすすまない。時間帯に診察する患者数の設定にもよりますが、新患が多かったり、具合の悪い方の診療に時間がかかったりするとどうしても遅れが生じてしまいます。今までは基準となる時間がなかったのでただ待つだけですが、時間帯予約制になると予約時間からの遅れが数字で見えてしまうので、待たされている感が増幅するかもしれません。これに関しては患者様にご理解いただくしか有りません。こちらも精一杯がんばりますので、どうかご容赦ください。
・インターネットや電話で予約するときに、希望の時間が空いていない。もしくは予約枠がいっぱいで取れない。時間通りに診療するには予約枠を少なめに設定すると良いですが、これでは予約を入れれない可能性がありますし、予約枠を増やし過ぎると、結局予約時間に診療ができないというジレンマがあります。今後患者様も、スタッフも慣れてくる部分があると思うので、患者様に迷惑にならないように予約枠を調整していきたいと思います。
・スタッフにとっては、なんだかんだ予約に関する作業が増える。来院患者数が平均化し、精神的に楽になる面はあるかもしれませんが、結局予約に関する業務が増えてしまいます。事務では予約に関する問い合わせが新しい仕事になり、予約を取ったり、予約票をわたしたりする作業が増えます。看護師も予約時間を考えながら診察順を調整する必要が出てきます。医師は診察後の予約の作業が増えます。時間が経つと操作になれてきて短縮できると思いますが、これに時間がかかりすぎると本末転倒になってしまいます。作業を工夫しながら、がんばります!
ワクチンのインターネット予約・専用ダイヤル予約を先行して開始!
9月下旬にクリニックに予約システムの機器が搬入されました。まずはスタッフがシステムを理解することが必要です。1日に何人の患者を診察するか、そうなると1時間に何人診察する必要があるか、診察時間(予約間隔を)を何分に設定するかなど考えなければなりません。最初は予約枠は必要最小限に設定し、予約間隔は15分と決定しました。また患者様への情報提供が必要と考え、10月は時間帯予約を導入するというアナウンスをしっかりし、11月下旬より予約制を開始することとしました。10月はコロナウイルスワクチン接種も頑張っており、11月からはインフルエンザワクチンも開始となります。そこで、診察予約に先行してワクチン接種の予約を先行して行いました。10月中旬からはコロナウイルスワクチン、インフルエンザワクチンのインターネット予約、専用ダイヤルによる予約を開始しました。今までは来院時または受け付けに電話で予約を取り、紙に書いて管理していたので大変でした。予約システムを利用するとコンピューター上で管理できるだけでなく、インターネット予約や専用ダイヤルでの予約を利用してくれる患者様もいて管理が楽になりました。この頃はコロナワクチン接種も若い年齢になっていたので、インターネット予約もしやすかったのかもしれません。インフルエンザワクチンについても今年度は入荷数が昨年より減っており管理が難しくなっています。例年は希望者が殺到し、1日に何十人も来院し、すぐになくなってしまい。次の入荷まではできませんと説明しなければなりませんでした。今回は入荷数にあわせて予約枠を設定することで、管理も楽になると予想されます。
インターネット予約はホームページに予約のバナーを作成し、予約ページに飛べるように設定しています。患者様の診察券番号と生年月日で個人のページに入り、予約を取ったり、変更したりできます。メールアドレスを設定すると、前日昼にメールでお知らせもしてくれます。問題は専用ダイヤルによる予約です。電話予約を利用するのは主に高齢者ですが、電話予約は音声案内になっており、音声アナウンスに従って数字を押す必要があります。うーん、これはちょっとむずかしいかも。自分でも少し戸惑いますので、高齢者には難易度高めかもしれません。今後の課題です。
時間帯予約制開始!
11月下旬満を持して時間帯予約制開始となりました。初日は予約の患者様+直接来院の患者様+新患(よりによって多め)で予約時間より遅れてしまいました。時間通りに診察がすすまないので、スタッフに問い合わせる患者さまもちらほらいたようです。状況によっては時間通りに行かない場合もあることを患者様に理解いただくとともに、スタッフも予約制のシステムに慣れていき、工夫できることを探しながら改善していきたいと思います。
まとめ
11月下旬より時間帯予約制を導入しました。賛否あると思いますが、3ヶ月後には予約制にしてよかったと言ってもらえるように頑張りたいと思います。また、令和4年2月ころからコロナウイルスワクチン3回目も開始になるので、インターネット予約も含めてしっかり準備していきたいと思います。
少し時間がたったら、経過を報告いたしますね。それでは。