高齢者に対する新型コロナワクチン2回目接種1週間を終えて

疾患

当クリニックでは令和3年5月24日から高齢者に対する新型コロナワクチン接種が開始となりました。当クリニックではかかりつけ患者様に限定して接種しています。5月24日から3週間は1回目の接種、6月14日から2回目の接種となります。日常診療と並行して行っていますので、接種数を増やすことは難しく、今後も3週毎に①1回目、①2回目、②1回目、②2回目というスケジュールになると思われます。私の自治体でも集団接種会場が増えており、若い方は集団接種がメインになるのではないかと考えています。では、最近のワクチン事情や、当クリニックでの状況をつぶやきます。

最近の新型コロナワクチンに関するニュース

現在1番多く使用されているファイザー社ワクチン「コミナティ筋注」の添付文書が改訂されました。接種対象者が16歳以上から12歳以上に変更となっています。現在高齢者接種で精一杯ですので、それ以下の年齢の接種がいつになるのか、どのように行うのかはまだわかりません。また、自治体によって接種順番も違うようですので、みなさんも情報収集してくださいね。また、冷蔵保存(2~8℃)の期限が5日から1ヶ月に延長されました。これは自治体やクリニックでの管理が容易になるのでうれしいニュースです。配送の簡素化が可能となり、予想外の廃棄も減ることが期待されます。

次にモデルナ社ワクチンが承認され、特に大都市の集団接種で使用され始めました。ファイザー社製と同様mRNAワクチンで、効果もほぼ同等。保管温度が-20℃前後とファイザー社製よりも厳しくないので、保管、搬送などもしやすくなっています。1バイアル(瓶)で10回接種分取ることができます。接種容量は1回接種あたり0.5mlとファイザー社製より少し多いです。モデルナ社製も2回の接種が必要で、2回目は4週間後となっています。ファイザー社製では生理食塩水で希釈する必要がありますが、モデルナ社製では希釈の必要がありません。全体的にモデルナ社製の方が、管理はしやすい印象です。なので大規模接種で使用されているのでしょう。当クリニックもファイザー社製であり、モデルナ社製も入ってくると混同してしまうので、病院はファイザー、他はモデルナと住み分ける必要がありそうです。1、2回とも同じワクチンを接種する必要があり、ファイザーとモデルナで接種間隔が異なりますので、みなさんもご注意下さい。

日本における接種状況

国を上げて高齢者接種を7月末までに終わらせようと動いています。実際大規模接種会場も増えており、予約が埋まらないなどの状況もあるようです。私の自治体では高齢者接種7月終了は難しいのでは?という印象です。お盆前にはなんとか終わらせたいですね。

首相官邸ホームページによると6月17日までに医療従事者9,686,290回、高齢者等19,200,847回の接種が終了しているようです。GW明けから高齢者接種が順調に増えているのがわかります。しかし全人口でみた接種率は1回目接種が13.0%、2回目接種はわずか3.6%ということです。都道府県別に見ると1回目接種率TOP3は高知県(19.7%)、佐賀県(19.4%)、和歌山県(19.0%)でした。2回目接種率TOP3は和歌山県(9.3%)、山口県(8.7%)、高知県(7.6%)でした。我が北海道は1回目接種率10.8%、2回目接種率3.1%と全国平均より低めなので、私も頑張りたいと思います。

全国接種率 2021/6/19  引用:内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室

65歳以上の高齢者の接種率(全国)は1回目接種が44.3%、2回目接種が12.4%となっています。思ったより接種が進んでいるのがわかります。都道府県別に見ると1回目接種率TOP3は佐賀県(61.9%)、岐阜県(57.6%)、石川県(56.0%)でした。2回目接種率TOP3は和歌山県(27.5%)、山口県(25.0%)、鳥取県(22.0%)でした。我が北海道は1回目接種率30.9%、2回目接種率8.7%とまたまた低めです。全体的にみて西高東低になっているので、東日本特に北海道では腕まくりに時間がかかるのでしょうね、、、。興味のある方は首相官邸ホームページ政府CIOポータルサイトをご覧になってくだい。

高齢者接種率 2021/6/19  引用:内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室

新型コロナワクチン接種における副反応報告

予防接種開始2021年2月17日から5月30日時点(103日間)までに、死亡として報告された事例は139件でした。症状の概要に記載された死因等は、出血性脳卒中31件、心肺停止19件、心不全17件等でした。なお、5月31日から6月4日までに死亡として報告された事例は57件でした。100万人あたりの死亡件数は2月17日から5月2日の期間では10.0件、2月17日から5月16日の期間では12.6件、2月17日から5月30日の期間では14.2件となっています。最近は高齢者の接種が増えてるため死亡として報告された事例が増えていると思われます。いずれもワクチン接種との直接の因果関係は不明であり、ワクチン接種に関わらず単純に高齢者が多くなる→死亡例も増えるという現象をみている可能性が高いと思われます。

アナフィラキシーについては逆に最近の接種を含めるほど100万回あたりの件数が減っています。100万回接種あたりのブライトン分類1~3の報告は2月17日から5月2日の期間では29件、2月17日から5月16日の期間では24件、2月17日から5月30日の期間では13件となっています。これはアナフィラキシーは若年者に多く、高齢者に少ないことを表していると思います。

前回も触れましたが、その他の一過性の副反応では発熱、頭痛、倦怠感が1回目より2回目の方が多く報告されています。いずれも60歳以上ではそれ以下の年齢より頻度が低く、ピークは2日目となっています。3日目から改善することが多いので心配しすぎないようにしましょう。

モデルナ社ワクチンに関しては死亡、アナフィラキシーの報告は現在のところありませんが、まだ接種数がすくないので、今後のデータが待たれるところです。

当クリニックでの印象

当院では月曜日から土曜日に外来診療と並行して接種しています。5月24日から6月12日までの高齢者1回目接種は待機時間に大きなトラブルなく、順調に終了しました。6月14日から2回目接種が開始となっていますが、予診の際に1回目の副反応はどうでしたか?とたずねても、あまり大事になった方はいませんでした。今回の1週間では2回目接種中止という方なく、院内待機でも大きなトラブルなく経過しました(よかった、よかった)。問題は副反応の発熱を心配しすぎて、薬局でアセトアミノフェンがなくなっていることでしょうか。どこにいっても売ってないと嘆いていました。わたしも近所のドラッグストアに行ってみましたが、アセトアミノフェンは売り切れでした。ワクチン副反応の発熱に関しては個人的にはどの解熱鎮痛薬でもよいと考えます。普段使用しているものがあれば、それを使っても問題ないと思います。実際主に医療従事者を対象とした新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)でもアセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどが使用されていました。このコホート研究では解熱鎮痛薬を使用した人は1回目4.05%、2回目13.62%でした。このコホート研究では対象が医療従事者が中心で、65歳以上は2.9%しか含まれていません。なので、高齢者は副反応がより少ないと考えると、あまり心配しすぎなくて良いのではと思います。アセトアミノフェンの買い占めはお控え下さい。無事ワクチン接種が終了した方は子供や孫にアセトアミノフェンを譲って下さいね。

もう一つの懸念は2回目接種が中止となった場合(1回目で強い副反応、接種日に急性期疾患など)に次回どうするか、その穴を他の方の1回目接種で埋めると、この方の2回目接種をどうするかということです。いまのところ1回目3週間、2回目3週間の6週間で1セットと考えていますが、その中にずれて入る方が増えてくると、こちらも混乱してしまうかもしれません。ワクチンも6回1セットなので、融通ききませんし、どうしましょう、、、。

まとめ

高齢者2回目接種が始まりました。今の所順調ですが、2回目なりの問題点や、上で触れたずれが生じてくる可能性あり、まだまだ落ち着けません。気を引き締めて取り組みたいと思います。

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