間歇スキャン式持続血糖測定器、FreeStyleリブレを使ってみた

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今回は糖尿病のお話です。糖尿病は膵臓から出るインスリンの効きが悪くなったり、量が減ったりして血糖値が上がってしまう病気です。外来では血糖値ヘモグロビンA1c値(最近2ヶ月くらいの血糖値の目安)をみて内服や注射薬を調整していきます。ただ血糖値を見るだけではありません。その先にある動脈硬化(脳梗塞や心筋梗塞)、腎機能障害、眼の合併症を予防するのが最大の目標です。病気を詳しく知りたい方は他を調べてください。私の役目はアイテムの紹介です。

FreeStyleリブレでグルコース値を測定してみよう

糖尿病治療中の方で注射薬を使用している方は自己血糖測定も行っている方が多いと思います。自己血糖測定の多くは指先に細い針を刺し、少量出血させて、それをセンサーに染み込ませ機器で読み取るという作業になります。1日2~3回となるとなかなか大変な作業となりますし、指先もなかなか血がでなくなってきたりという苦労があるようです。そこで紹介するのがFreeStyleリブレです。上腕の裏側にリブレ本体を貼り、読取装置を近づけるとグルコース値が測れます。リブレ本体1回付けると14日間測定できます。いつでも測れますが、常に見守っている機器ではありません。また、本体には8時間のデータしか保存できないので、途切れないデータを取るには8時間以内に読み取る必要があります。また、読取装置ではなくスマートフォンでもグルコース値が測定できます(NFC接続:電子マネーで使う接続のよう)。

FreeStyleリブレで何がわかる?

FreeStyleリブレの最大の利点は1日のグルコース値の変動を見ることができることです。リブレ1つで14日間測定出来ますので、2週間のグルコース値の変動がわかります。血液で読み取る自己血糖測定では、測定時点の瞬間の血糖値を見るだけで、これからまだ上がるのか、まだ下がるのかなど変動を見ることは出来ません。また、最大値、最小値(時に低血糖)を捉えることはできません。変動がわかることで、今までに気づかない低血糖を知ることができたり(夜間など)、どの時間帯の血糖が高いのか、低いのかがわかるので、治療戦略が立てやすくなります。さらに、毎回指に針をさす操作から開放されるという利点もあります。欠点は値段くらいです。また、皮膚の弱い方は継続が難しい場合もあるかもしれません。また、いつでもどこでも測定できるので、測定回数が増え、グルコース値をみる機会が増え、患者様自体が食事を気をつけるという効果もあると思われます(夕食のあとにおやつを食べると、、、)。

FreeStyleリブレはどんな人がつかえるの?

1型糖尿病の患者様は基礎となる作用時間の長いインスリンと食後の血糖値を下げる作用時間の短いインスリンを併用しながら厳格な管理が必要になります。1日3回血糖値を測定して管理したり、低血糖にも注意が必要になります。2型糖尿病でも自分の膵臓から出るインスリンが相対的に減ってしまうとインスリンの注射薬が必要になったり、注射薬を組み合わせて使用することがあります。その際にも1日2回の自己血糖測定が必要になったりします。現在、1型・2型を問わず、強化インスリン療法を行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用している患者様に対して間歇スキャン式持続血糖測定器(FreeStyleリブレ)による血糖自己測定器加算が算定可能となっています。また、その他の注射薬を使用し、自己血糖測定を1日2回している患者様でも、場合によってはFreeStyleリブレを使用できます(従来の血糖測定と併用)。条件に当てはまるかは主治医に確認して下さいね。また、自費でもよいのであればamazonでも売っています。糖尿病で無い方、内服のみの方でも興味があれば使うことが出来ます。あくまで自己責任、さらに後述する問題点もありますのでご注意下さい。

FreeStyleリブレを装着し血糖を測定しよう

1.読取装置(リーダー)の設定:リーダーの電源を入れ日付、時刻、目標グルコース(血糖)範囲を設定します。目標グルコース値は主治医と相談しましょう。
2.センサー(リブレ)の装着:装着部位である上腕の後ろ側をアルコール綿で拭きます。センサーパック(リブレ本体が入っている)とセンサーアプリケーター(リブレを装着するための装置)を合体させ、アプリケーターを消毒した部分にしっかり押し当てます。ガチャンと大きな音がし、リブレが装着されます(説明書をよく読んでくださいね)。アプリケーターには針があり、装着時には刺さるのですが、痛みはほとんどありません。装着はあっという間に終了します。
3.グルコース値を測定:リーダーの電源をいれ、「新しいセンサーを起動」をタッチし、センサーをスキャンする画面にします。リーダーをセンサーに近づけるとグルコース値がスキャンされますが、最初はセンサーの起動まで60分待つ必要があります(1時間後から測定が開始されます)。
4.スマートフォンで測定する場合:アプリをダウンロードし、アカウントを登録します。iPhoneの場合はiPhone上部をセンサーに近づけると測定値が表示されます。

FreeStyleリブレをリーダーで読取り
FreeStyleリブレをリーダーで読取り
FreeStyleリブレをスマートフォンで読取り
FreeStyleリブレをスマートフォンで読取り

FreeStyleリブレの装着感

私は左腕にコロナワクチンを接種した後ということもあり右上腕の裏側に装着しました。アプリケーターを押し当てて装着する時にガチャンと大きな音がするのでびっくりしますが、痛くはありませんでした。本体は硬いですが、シールでしっかりくっついており、動いても邪魔にはなりません。テニスをしても、リングフィットをしても問題ありません。防水なので、お風呂も大丈夫ですが、体を拭く時には注意が必要です。また、着替えのときにも注意が必要です。しかし、シールは強力にくっついているので、よほど大きな力がかからなければ剥がれたりしないと思います。

FreeStyleリブレの注意点

・FreeStyleリブレは血液中ではなく、間質液中(血管の外)のグルコース濃度を測定します。グルコースは血管内から間質液へ移動するので、血糖値とは5-10分遅れて変動することとなります。
・センサーは耐水性で入浴・シャワー・水泳が可能(水深1m、最長30分)です。
・センサーに激しい刺激をあたえたり、シールが剥がれないように注意する必要があります。着替えや体を拭く時に注意して下さい。再装着は出来ません。
・リーダーで異常値が出た場合(特に低血糖)は従来方法(指先穿刺)でも確認しましょう。
8時間以上測定間隔があくと連続した変動が見れません。しかし、これはあまり気にしなくてよいでしょう。例えば9時間寝る方は就寝時、起床時に測定しても就寝後1時間のデータは取れませんが、これはよしとしましょう。23時間もデータが取れれば十分です!同様に日中も多少隙間が出来てしまってもよしとしましょう。だって今まで瞬間の2~3点して見ていなかったのですから、、、。
リーダーとスマートフォンでは私の場合5-15程度スマートフォンで高く出ました。院長も同様だったので、スマートフォンでは高めに出るのかもしれません。パンフレットでも9.2%程度の誤差があると説明があります。可能であれば数回リーダーとスマートフォンで同時に測定し差を確認するとよいと思います。変動をみるのであれば十分と考えます

まとめ

ちょっと長くなってしまいましたので、今回はここまでとします。次回はリーダーやスマートフォンで測定したデータも含め紹介します。お楽しみに。

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