カフ式血圧計を内蔵したHuawei Watch D2が2025年2月13日に発売されました。カフ式血圧計を内蔵したスマートウォッチはめずらしく、さらに日本の管理医療機器認証を取得しており、安心して日々の血圧測定を行うことができます。
前回はHuawei Watch D2やHuawei Healthアプリの準備で終わってしまいました。いよいよ血圧測定してみましょう。その前に高血圧について少し勉強しましょう。
高血圧の分類、診断、目標について
血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力で、心臓が収縮することで発生します。血圧は心臓から押し出される血液量(心拍出量)と、血管の収縮の程度や硬さ(血管抵抗)によって決まります。
高血圧は収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、かつ、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の場合に診断されます(家庭血圧はそれぞれ5mmHg引いた値)。
成人における血圧値の分類は下記のようになっており、収縮期血圧130-139mmHg、拡張期血圧80-90mmHg(家庭血圧はそれぞれ5mmHg引いた値)で、ちょっと高いよねというイメージです。
分類(診察室血圧) | 収縮期血圧 | (mmHg) | 拡張期血圧 |
正常血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常高値血圧 | 120-129 | かつ | <80 |
高値血圧 | 130-139 | かつ/または | 80-89 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159 | かつ/または | 90-99 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179 | かつ/または | 100-109 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 |
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より
家庭血圧と診察室血圧が異なる場合がよくありますが、両者による分類は下記のようになっています。家庭血圧と診察室血圧の両方高い『持続性高血圧』、診察室血圧は低いが家庭血圧が高い『仮面高血圧』は脳心血管病リスクが高く、治療が必要(治療中であれば強化が必要)です。家庭血圧は低いが診察室血圧が高い『白衣高血圧』はただちに治療は必要ありませんが、今後の高血圧発症リスクも考慮し、家庭血圧測定の継続が望ましいです。
診察室血圧 140/90mmHg未満 | 診察室血圧 140/90mmHg以上 | |
家庭血圧 135/85mmHg以上 | 仮面高血圧 | 持続性高血圧 |
家庭血圧 135/85mmHg未満 | 非高血圧 | 白衣高血圧 |
降圧目標は下記のようになっています(少し簡略化しています)。大まかに75歳未満の成人は診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満を目指しましよう。75歳以上の高齢者は140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満を目指しましょう。
その上で、糖尿病、脳心腎疾患、抗血小板薬服用(血をさらさらにする薬、基礎に脳心疾患がある場合が多い)の方は低めを目指すというイメージです。基礎疾患があり通院中の方は主治医に目標血圧を聞いてみてください。高血圧治療ガイドラインは2025年7月に改定予定ですが、分類や目標には大きな変化はなさそうです。
診察室血圧(mmHg) | 家庭血圧(mmHg) | |
75歳未満の成人 脳心腎疾患、糖尿病 抗血小板薬内服 | <130/80 | <125/75 |
75歳以上の高齢者 | <140/90 | <135/85 |
家庭血圧の測定の仕方
ここから本題ですね。家庭血圧を測定するのは大切ですが、正しい方法で測定しましょう。
- 朝と夜の1日2回、座位で測定します。測定前は1~2分安静にします。
- 朝は起床して排尿後(直後はだめ)、朝食前、起床後1時間以内の時間帯で測定します。
- 夜は就寝前に測定します。
- それぞれ2回連続で測定し、平均します。
私は患者さんに「2回連続測定して、2回の測定値を血圧手帳に書いてくれればOK。計算機使ってまで平均はださなくていいよ。血圧計に脈拍もでるから、脈拍も書いておいてね」と説明しています。
上腕で測定する血圧計は自然と心臓の高さになりますが、手首で測定する血圧計は手首の高さを心臓の高さに合わせる必要があります。Huawei Watch D2も手首で測定しますので、心臓の高さにあわせて測定します。
説明書にあるように椅子に力を抜いて座り、装着していない側の手で装着側の肘を支え、Huawei Watch D2を心臓の高さに合わせます(なんとなくで大丈夫)。この時、手のひらは開いて、Watchを胸に押し付けないようにリラックスしましょう。説明書の絵はそう言ってると思います(見た人しかわかりませんね)。

Huawei Watch D2で血圧測定
血圧を測定するにはいくつか方法があります。初期設定では下ボタンが血圧測定になっています(これが一番早い)。①私は文字盤を健康状態の見やすそうなHealth Guardという文字盤にしたので、ここからも血圧測定ができます。ホーム画面を右から左にスクロールして血圧カードを表示しても測定できます。上ボタン(リューズ)でアプリ一覧:血圧からも測定できます。②すべて同じ画面にたどり着きます。
③測定をタップすると、5秒のカウントダウンが始まるので、④安静にして正しい姿勢をキープします。呼吸は止めずにゆっくり規則的にしましょう。⑤30秒くらいで測定が終わり、結果が表示されます。通常の自動血圧計はカフの膨らむブーンという音が気になりますが、Huawei Watch D2はおどろくほど静かです。ほとんど音がしませんので、外出先でもこっそり測定できます。
測定画面②を下から上にスクロールすると、ゲストの測定があります。⑥ゲストモードでは結果が記録されないので、家族など他の人の測定もできます。






Huawei Healthアプリでのサマリー
アプリでは詳細な結果を見ることができます。①Huawei Healthアプリのホーム画面には健康管理のカードが並んでいます。表示の有無や順番は好みに設定できます。
血圧をタップすると血圧サマリー画面になります。②日を選択すると、当日の血圧測定結果をみることができます。③週をタップすると1週間の血圧測定結果を見ることができます。④収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)の最高、最低、平均と評価も見ることができます。⑤概要には1週間のまとめが記載されています(ABPMはまた別の機会に取り上げます)。
概要の下に血圧管理:健康管理、測定計画があります。⑥血圧管理の健康管理をタップすると、自分のプロフィール、家族歴など簡単な質問に答えるだけで、健康目標を立ててくれます。⑦測定計画では血圧測定リマインダーを設定できます。⑧ヘルスケアアプリで血圧の横に表示される判定結果(正常高値血圧や高血圧など)は高血圧治療ガイドライン2019に準拠しています(優秀です)。








アプリ一覧の中に『Health Glance』というアプリがあります。ここから測定を始めると、心拍数、血圧、血中酸素、ストレス、皮膚温をいっぺんに測定することができます。時間がるときは『Health Glance』ですべてを測定するとよいかもしれません。






まとめ
今回は高血圧について、血圧測定方法について、Huawei Watch D2の使い方と表示について書きました。私の測定結果は正常高値血圧からⅠ度高血圧の範囲に入っています。減塩、減量、運動など頑張りたいと思います。
Huawei Watch D2を1週間くらい使ってみましたが、血圧計が常に手首に巻いてあるというのはすごく大事なことで、朝夜だけでなく気がついた時にすぐ測定できます。普通の血圧計では、血圧計のある場所に行き、腕や手首に巻いて測定しなければなりません。これがめんどうで、血圧測定を継続できない人がほとんどです。血圧は測れば測るほど血圧管理が良くなると思っているので、測定しやすいというのが一番大事です。
毎日測って診察の時に持ってくる患者様はリスペクトです。普通の血圧計で毎日測ることのできる患者様は、薬も毎日忘れずに内服してくれると思いますし、血圧管理も良好に経過することが多いです。
自動血圧モニタリング(ABPM)も面白い機能なので、また後日に報告します。