カフ式血圧計を内蔵したHuawei Watch D2が2025年2月13日に発売されました。カフ式血圧計を内蔵したスマートウォッチはめずらしく、さらに日本の管理医療機器認証を取得しており、安心して日々の血圧測定を行うことができます。
前回は心電図測定について書きましたが、今回は血圧測定に戻ります。Huawei Watch D2には24時間自動血圧モニタリングという機能があり、簡単に1日の血圧変動が測定できます。まず基礎知識を勉強しましょう。
早朝高血圧とは
早朝高血圧とは、早朝1~2時間以内の家庭血圧が135/85mmHg以上の場合をいいます。血圧は1日の中で変動しており、起床後上昇し、夜間に下降する『血圧日内変動』を示します。早朝高血圧は心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの脳心血管疾患のイベント上昇につながります。実際に心筋梗塞や脳梗塞は早朝から昼までの発症率が高いので、早朝高血圧を管理することが重要です。
早朝高血圧には下記の2つのタイプがあります。
- 高血圧持続型:早朝のみではなく、睡眠中から血圧高値が続いているタイプ。糖尿病、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群の人などに多いと言われています。自律神経が夜中にゆっくり休めていない状態です。当然脳心血管リスクが高まります。
- モーニングサージ型:夜間の血圧は低下するものの、明け方から起床時にかけて血圧が急上昇するタイプ。高齢者や血糖血・コレステロール値が高い人、アルコール摂取の多い人に起こりやすいと言われています。
この2つのタイプを調べるためには夜間に血圧を測定することが必要になります。
夜間高血圧と血圧日内変動
夜間高血圧とは、家庭血圧計や24時間自由行動下血圧測定(ABPM:ambulatory blood pressure monitoring)で測定した夜間血圧の平均値が120/70mmHg以上の場合をいいます。私たちの体を調整する自律神経には、体を活発にする交感神経と体を休める副交感神経があります。通常夜間、就寝時は副交感神経が優位になり、血圧や脈拍は低下します。
夜間の血圧変動には大きく分けて下記の4つのタイプがあります。
- Dipper(ディッパー)型:夜間の血圧が昼間の血圧と比較して、10~20%低下する正常なタイプ。
- Non-dipper(ノンディッパー)型:夜間の血圧が昼間の血圧とあまりかわらず、血圧降下度が0~10%にとどまるタイプ。dipper型に比較し脳心血管疾患のリスクが高いです。
- Riser(ライザー)型:昼間よりも夜間血圧の方が高いタイプ。Non-dipper型よりも脳心血管疾患のリスクが有意に高いです。
- Extreme-dipper(エクストリームディッパー)型:夜間の血圧が過度(昼間の20%以上)低くなるタイプ。高齢高血圧患者では、無症候性脳梗塞が進行しているケースがあり、脳卒中発症リスクが高いとされています。
血圧日内変動を調べるには24時間自由行動下血圧測定(ABPM)が必要となります。
ABPMの測定方法と血圧評価
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)とは、15~30分間隔で、睡眠時間含め24時間血圧を測定する検査です。血圧計と記録装置を装着し、24時間過ごします。
ABPMによる高血圧の判定は下記のようになります。
- 24時間血圧が130/80mmHg以上
- 昼間血圧が135/85mmHg以上
- 夜間血圧が120/70mmHg以上
また、夜間の血圧降下度(前述)も判定できます。最近は機械も小さく軽量化していますが、夜間に血圧を測るのは少しストレスですね。そこでHuawei Watch D2の出番です(ここまで長かった、次から本番です)。
Huawei Watch D2で24時間自由行動下血圧を測定しよう
Huawei Watch D2は睡眠状態も評価できるので、就寝時も装着しましょう。バッテリーの持ちはとてもよいので、お風呂の時に充電するだけで十分です。血圧測定は管理医療機器認証を取得していますが、この24時間自動血圧モニタリングは参考値であり、医療目的には使用できないと記載されていますのでご注意ください。あくまで、参考として利用しますが、とても優秀です。
①上ボタン:アプリ一覧から自動血圧モニタリングを選択します。②右下のグラフマークを選択します。③開始時間、夜間時間を設定します。夜間の頻度は30分で良いでしょう、④日中の頻度は15~30分で設定しましょう。日中の測定は手動測定がよいでしょう。自動に設定するとリマインダー8秒後に自動で開始となります。すべて設定したらプラン開始を選択します。⑤確認が表示されますので続行を選択します。
⑥測定時間になるとアラートでお知らせが来るので、測定するときには手首の心臓の高さにして測定します。測定できない状態であればスキップもできます。就寝時はなにも考えずに寝ていてOKです。手首は締め付けられますが、音は静かで、実際起きてしまうことはありませんでした。






ABPMレポートについて
詳細なレポートはHuawei Healthアプリで確認します。①アプリアホームから血圧を選択。②少し下のその他のデータ:ABPMを選択します。③結果一覧からみたいデータを選択すると詳細が表示されます。
④1番目のカラムには24時間、日中、夜間の平均血圧、起床後2時間以内の血圧、夜間ディップが表示されます。私のデータでは拡張期血圧が高いので各時間帯の評価は高いと記載されています。起床後の血圧はそれほど高くなさそうです。夜間ディップは拡張期血圧が21%低下でエクストリームディッパーと記載されています。2番目のカラムは血圧値のトレンドが表示されます。グラフで表示されるので、変動がわかりやすいです。夜間に低下しているのがわかります。⑤3番目のカラムは24時間血圧のサマリー、4番目のカラムは日中血圧のサマリーとなります。⑥5番目のカラムは夜間血圧のサマリー、6番目は起床後2時間以内のサマリーとなります。一番下のABPMデータから全データを見ることができます。
各サマリーでは最高、最低、平均値や変動を見ることができます。血圧負荷は、その時間帯に高血圧の範囲に入っていた割合を示しています。朝、就寝前の2回の測定ではわからなかった血圧変動を簡単に測定することができました。






まとめ
Huawei Watch D2の自動血圧モニタリングをためしてみました。就寝時にもじゃまにならず、ストレスなく測定することができました。結果もわかりやすく表示され、あくまで参考値ですが、医師にみせると驚かれるレベルだと感じました。月に1回でも評価するとよいかもしれません。血圧と同時に脈拍も記録されますし、Watchでは血中酸素も自動で測定されます。血圧がNon-dipper型、夜間の脈拍も下がりにくい、夜間に血中酸素の低下のある方は睡眠時無呼吸症候群かもしれません。医師に相談してください。